大阪・梅田の関西大学梅田キャンパスにて行われた、これからの教育の未来を考えるイベントに参加してきました!
今回はその様子をお届けします。
このイベントは、社会や仕事に変化が起きる中(ワーク・シフト)、子ども達や教師、学校に求められる変化とは何なのか?ということについて、「教育」を軸に、「キャリア教育」「テクノロジー」の両分野において最前線で活躍する登壇者と共に、私たちに求められる教育の変化「エデュケーション・シフト」を考えるイベントです(イベントページより一部抜粋)。
豪華登壇者のなかには元ベネッセホールディングス EdTech Lab 部長の森安康雄さん、認定NPO法人カタリバ代表理事の今村久美さん、探究学舎 学長の宝槻泰伸さんなどがいらっしゃいます。
主催しているのは、グローバルシェイパーズ大阪ハブのみなさん。
〈グローバルシェイパーズコミュニティとは??〉
世界経済フォーラムにより組織される、多様なバックグラウンドを有する33歳以下の若者によるコミュニティです。全世界に450以上のHUBが設置され、5,500名以上のシェイパーが、地域における諸課題を解決することを目的として活動しています。
つまり、今ある問題を解決しよう!!!と奮闘する、世界の若い勇者たちということですね!!
そんな方々が進める第一セッションのテーマは、「世の中はどう変化しているのか。そして教育はどう変わるべきなのか」。
パネルディスカッションに登壇するのは、
- 森安康雄さん
元ベネッセホールディングス EdTech Lab部長
〈EdTech(エドテック)とは?〉
Education×Technolog(教育×テクノロジー)の造語で、たとえばブラウザ上だけでプログラミングの勉強ができたり、オンライン動画だけで勉強するなどがあります。
▼Edtech labはこちら
→森安さんは今回のイベント登壇者の中では最年長。「わたしは60歳からも輝きたい、と思っています^^」というやさしいお言葉が印象的でした。
- 後藤正樹さん
株式会社コードタクト代表取締役/指揮者/総務省PM
→東大の大学院を出た後、音大に入り直して、指揮者になられた方です。異色の経歴!飛び出す発言もユニークで、聞いていてどきどきしました。IT技術を使った音楽の新しい聞き方も研究されているそう。
▼コードタクトのサービスはこちら
- 米田謙三さん
羽衣学園中学校・高等学校
→英語、情報、地歴公民すべて教えられていて、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟 国際教育専門委員会 前委員、財団法人コンピュータ教育開発センター 産学連携授業専門委員(高校代表)…などなど、むつかしい役職にたくさん就いていらっしゃるようです。時代の流れをいち早く学校に取り入れよう!!と奮闘されていることがよくわかりました。
そしてモデレーターはこの方
- 中村孝一さん
NPO法人eboard代表理事
→私たち町営塾Kii+(キイト)でも中学1,2年生向けに使わせていただいているサービスを作っている方です!!声がとてもダンディで、普段私たちもeboardの動画で聞いている声が壇上で聞けてなんだか不思議な気分でした(笑)。
(追記:こちらのブログでは、パネラーや質問者の方々が仰った言葉をできる限り再現したいと思い書かせていただいておりますが、一言一句違わずに書く議事録的なものではなく、あくまで私の記憶に残った言葉で書かせていただいていることを予めご了承下さい。ご指摘、アドバイスなどお待ちしております。)
世の中はどう変化しているのか。そして教育はどう変わるべきなのか、を語る上で、まず最初の質問。
中村さん:技術や社会が変化し続けている今、それらは仕事にどんな変化をもたらしたか?
森安さん:
仕事は会社、それを取り巻く社会はものすごい勢いで変わっている。たとえば待ち合わせ時も駅の掲示板などを使っていたのが今は誰でも携帯をもっていてラインでのやり取りなどになった。しかも10年前にiPhoneはなかった。Skypeを使っていのがスラックになった。大学入試も、センター試験が2020年には変わる。学習指導要領の決まりで10年間は方針を変えられないが、次、2030年にまた入試も変わるだろう。
教育=学びであり、学生だけではなく社会人も学び続けなければいけない。learning=earningと言われている。
後藤さん:
中学校時代にマイナス2乗はないよって教わったことが、高校になるとあるよって言われたり、高校時代に知らなかった考え方のフレームワーク(3Cなど)を大学で知ったり、習ってこなかったことをあとで知って先生嫌いが始まった(笑)。習うことができなかった、という悔しさが募るようになり、どんな年齢であっても誰でも学べる仕組みをつくることをしたいと思っている。
今はスラックというツールを積極的に活用しており、リモートで働くことが可能な時代。自分の会社でも、一度も対面で会ったことがないけど、Skypeで面談していいね!ってなって、一緒に働いている人達がいる。
また、今後は勉強だけでは測れない多様な価値観を認めていくべきだと思う。自分の会社でも、学歴だけで言っても中卒の人から、有名海外大学卒の人も一緒に働いている。
中村さん:今後、学ぶ内容や学び方はどう変わっていく?
米田さん:
アクティブラーニングは「顔をあげること」だと定義している。
また、問いには時代それぞれでそれぞれの正解がある。例えば二宮尊徳の像といえば、本を読んで勉強しながら歩くのが良いとされていたが、現在歩きスマホは良いとされていない。
今後は私たちが生きている地球がなくならないように、持続的なサステナブル教育を展開し、アクションを起こしていくべき。
中村さん:子どもたちに身につけてほしい能力は?
森安さん:
子どもがテレビの画面に映る地図を見て、ピンチアウト(日本の指をつかって画面を拡大するような仕草)しようとしたそう。つまり子どものリテラシーが大人のリテラシーを上回ってきている事象が発生している。これまでのように、知識は多い方から少ない方に渡すのだという常識が逆転しようとしている。だからこそ、教え方や学び方を変えていかないといけない。
後藤さん:
自分の子どもには部屋に紙を置かずに、紙は世の中に無いものとして育てようかなと思っていますwそういう新しい育て方にも挑戦していきたい。
そして学校の先生は、現状を分析して解釈して、伝えるという役割があると思う。だから固定化してはいけないし、広い知識が必要。
米田さん:
今年はじめて、高校生で2000年生まれという世代が出てきました。彼らは生まれたときから携帯があって、4歳の頃ミクシイが流行ったり、11歳頃でラインが流行ったりしている世代。彼らなりの使い方がある。だからスマホをいじっているからと言って遊んでいるわけではない。
ただ、彼らは「デジタル機器においては先生たちよりも分かっている」という自負?があるらしく、時々高飛車に、上から目線で俺らのほうがわかってるし〜〜という態度をとってくることがあるので指導が必要?(笑)
中村さん:自分の子供や孫が生まれたら、どこでどんな教育を受けさせたい?また、学校をつくるとなったらどんなメンバーで、どんな学校を作りたい?
米田さん:
インプットとアウトプットのバランスよく育てたい。
後藤さん:
最終的なアウトプットがテストという形式を変えたい。テストというのは人の能力を図る一側面なだけ。たとえば歴史なら、なぜこの概念が生まれたのかということをプレゼンさせてみるとか、理科ならロボットを作らせてみる、など。
中村さん:
評価と実践が表裏一体の方が、学校側は楽ですもんね。
後藤さん:
採用試験などでも、学歴で落とすのではなく、しゃべったらいいところあるなということは分かる。
森安さん:
プログラミング教育を学芸大付属高校で行っていた。
それにともなって、画一的な点数などの評価ではなく、ルーブリック評価というものを採用した。これは評価する基準を段階的に幾つか設けるというもの。それを事前にクラスでシェアしておいた。その後、私はこの評価ではなくもうひと段階上のものだと思うのですが、というように生徒が先生にアピールして実際に評価が変わった例も出てきて、こういうインタラクションが発生するのがいいことだと思う。
ただ、この評価基準をつくることがものすごく大変なので、先生たちが気軽に取り入れられないという現状がある。
▼ルーブリック評価についてはこちら
後藤さん:
技術面で言うと、ブロックチェーンというお金に関するシステムを教育に応用しようとする人たちがいる。
これはTOEICのように、誰かが決めた評価軸を良しとするものではなく、色んな人がいいね!と言っているものを評価として使おう、という動き。
▼ブロックチェーンについてはこちら。
森安さん:
ブロックチェーンのような方式はお金を扱うシステムなので、改ざんが起こりづらいのがよいところ。世界で共通の認識ができるところも良い。
中村さん:
みなさん、社会との接続面を話してくれましたが、ぼくの質問は、「ぶっちゃけ、子どもにはどういう教育を受けさせたい?」というものですwどうでしょう。
米田さん:
ぼくはアジアのほぼすべての国を回ったが、アジアの英語教育のレベルはとても高く、驚かされる。英語教育をするならアジアに行かせたい。
森安さん:
今後はひとりひとりに応じて提供されるべきだと思う。ひとりひとり、できること、できないこと、その段階が違う。だから1つは、パーソナライズされるべきだという意見。オルトスクールのような。これはシステムに任せるべきところを任せることで、人の集まる意義を再定義できるのが良い。
▼Alt schoolについてはこちら
そしてもう1つは、地域の中で地域を育てる学校が必要。たとえばミネルヴァ大学のように、世界中を回ってその地域の中で学ぶのも良い。
▼ミネルヴァ大学についてはこちら
後藤さん:
ゼロから1を生み出せる人間を育てたいねという話は妻ともよくしている。
そのためには自分ひとりでできることは少ないので、世界の人とコラボする必要がある。そのツールとして、世界共通言語である英語と音楽(!)を学ばせたい。
そして多様な価値観を認めあうことが必要。それを実体験として触れ合えるような取り組みをさせたい。
質問タイム
このイベントでは、相互コミュニケーションをかなり重視しており、私たち参加者も前後左右で2人ほどのグループを作って自己紹介をし合ったり、意見交換・感想共有をし合ったりできました!
質問者1:
GとLを行き来できる人間、価値観を共有して分かり合えるためには?
森安さん:
空間的に情報が集まりづらいところにいるのはこれまではハンデと捉えられたが、この先は技術でそれを払拭できる。Lが自立しないと、Gとの連携もうまくいかない。
ゼロから1が大事で、海士町なんかはそう。それに続くものをどう生み出していくのか、それをどう広げていくのか、というところを創るのは大人の仕事。
中村さん:
いま、ブーメラン人材が必要と言われている。地域に帰ってくるために、地域が好きだから、だからこそGに行けという話はぼくもする。
質問者2:
教育のゴールはどこでしょう?
A. 人生100年あるのだから、教育のゴール設定はあえてせず、もっと先のいろいろを見えるようにしていくべき。60歳から輝くぞ!とぼくも思っている(森安さん)。
質問者3:
学力格差、経済格差などあるが、それ以前に愛情格差があると思う。どう思いますか?
A.建設的妥協点も大事。つまり、先生方はやれることすべてやりたくなってしまう人も多いけれど、それと、現実的にできるところのいいバランスを探るということ(米田さん)。
A2.それこそICTを活用することで、人の役割も変わってくる。愛情を注げる時間を増やすために、ICTを効果的に活用していきたいと思う(中村さん)。
以上が、第一セッション「世の中はどう変化しているのか。そして教育はどう変わるべきなのか。」が終了しました!
そして第二セッションのテーマは「これからの学校や教師の役割とは?」。
また別記事で書きたいと思います!!
▼後編はこちらです✨
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